LED照明リニューアル事例(体育館)

学校・体育館の省エネ手法

照明器具リニューアルで「エコ・キャンパス」を応援!!

歴史ある体育館が、いっそう快適な空間に。

桜美林学園
キャンパスデザイン・管理センター
太田幸宏 氏

桜美林学園では、東京都町田市のキャンパスに幼稚園、中学校、高等学校、大学、大学院を持ち、約1万人が学業に励む。 近年は積極的に環境問題に取り組み、2010年に策定した学園中期目標の中で、「エコ・キャンパスの実現」を目標の一つに掲げ、様々な学園内のエコ改革に取り組んでいる。屋上緑化をはじめ、地中熱の有効利用や太陽光発電、地下水の中水利用、LED 照明の導入などを推進している。
2012 年3 月には、同学園に1966年に建設された体育館「更賜体育館」にLED 照明を 導入。同時に安全のため、従来からある老朽化していた49台の照明器具も全て、軽量でコンパクトな器具にリニューアルを行った。
それまでの照明では、1年に何度もランプを交換する必要があり、費用と手間がかかっていたと聞く。
本日は、リニューアルからおよそ半年経過した現在の体育館の様子を、同学園キャンパスデザイン・管理センター担当係長である、太田幸宏氏に伺ってみることにした

使用頻度の激しい体育館に必要な条件とは

本日は、今年3月に照明器具のリニューアルをされた体育館のその後、ということでお話を伺って参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 私、先ほど体育館を拝見させていただいたのですが、歴史を感じさせる立派な建物ですね・・・・。

そうですね、1966年に落成した「更(こう) 賜(し) 体育館」といいます。鉄骨鉄筋造の校舎で、だいぶ古くはなっていますが耐震調査もきちんと行い、クリアされています。構造的にはしっかりした建物です。大学の体育施設ですが、隣接する高等学校、中学校及び幼稚園も使用する建物です。

普段はどのように体育館を使用されているのでしょうか?

体育授業はもちろんのこと、課外活動や地区大会の試合会場及び大学祭などでのイベント会場として多目的に使用されています。そのような事情で夏の点検期間や年末年始を除き、ほぼ1年を通じて早朝から夜遅くまで、また土・日曜日もほぼ毎週のように使用予定が入っており、相当高い稼働率となっています。


更賜体育館

それでは照明などもその間は、ずっとつけっ放しという状態ですか?

ええ、以前の照明器具※1の場合は、使用しないとき、一度消灯してしまうと再点灯に時間がかかるため、休み時間の間も点灯させたままになっていましたね。したがってこまめに消灯するという意識が少なかったようです。
でも、今回導入した照明器具により瞬時点灯が可能となり、現在では利用者がこまめに消灯することを実行するようになっています。
※1 メタルハライドランプと高圧ナトリウムランプの混光照明器具

今回LED照明器具に交換したことによって、ランプ切れとそれに伴う交換作業などが無くなったとのことですが、それ以前はどんな様子だったのでしょうか?

それまでは1年に何度か数か所にわたりランプ切れが起こるので、その都度高所作業車を用意して交換作業を行っていました。そのため、手間だけではなく作業車代などの費用がかかるのと体育館の使用を制限する必要があったため、早くこのような製品が出てくれば交換を検討したいと考えていました。

それでは、今回のLED照明器具が販売されたから換えようと思われたのですね?

そうですね。一昨年(2010年)末頃から体育館の照明は是非交換したいと考えていました。ところが昨年の震災発生により、復旧工事等の作業を優先する必要があったため検討を中断せざるを得なくなり…。また本学施設が夏の電力使用制限対象であったことから、その早急な対応策を実施する必要もありました。照明については蛍光灯・ランプなどの間引きを行いつつ、順次LED等の省エネ・高効率型の器具へ更新を進めていくことになったわけです。


リニューアルされたLED 照明

今回の体育館の照明全面リニューアルについては、「安全」「快適性」「省エネ」といういわば3つのキーワードに基づいていると思うのですが、これにはやはり、震災の影響という要素も大きかったのでしょうか?

震災への対策が叫ばれていたのと同時に、設備の老朽化という問題も大きかったということですね。

今回の体育館の照明全面リニューアルについては、「安全」「快適性」「省エネ」といういわば3つのキーワードに基づいていると思うのですが、これにはやはり、震災の影響という要素も大きかったのでしょうか?

震災への対策が叫ばれていたのと同時に、設備の老朽化という問題も大きかったということですね。

先程拝見しましたら、照明の数は49個もありましたね。

現在の体育館の使用状況を確保しながら頻繁にランプの交換を行うことは、作業日程の調整の難しさや、作業時の使用制限を行う頻度が高くなるという問題に加え、何よりも手間、費用がかさみます。 そのような環境の中で、既存の器具と同等以上の照度の確保が期待できる製品を探していましたが、中々これというものが見つかりませんでした。ようやく適したものがタイミング良く発売され、それが今回採用した製品でした。

経済産業省から、10年以上経過した照明器具の長期使用に伴う注意喚起があったと伺いましたが、やはりこの影響もあるのでしょうか?

そうですね、体育館に限らず、老朽化した照明器具のリニューアルは学園全体の課題でもあります。
今は共有スペースの部分はかなり入れ替えが進んでいます。中でも主要校舎の1階に、学生が自由に利用するラウンジスペースがあるのですが、その辺りもかなり入れ換えが進んでいます。直管形だけでなく、スポットライトなどもLEDに交換しています。
それから、400人ほど収容できる大教室を複数有する校舎があるのですが、こちらもこの夏に直管形LEDに照明器具と合わせて更新しました。今後も安全確保を第一に、予算との兼ね合いを考慮しながら引き続き器具の更新を図っていきたいと考えています。

明るさアップで快適な学習環境に

そこで、次のキーワードとして「快適性」についてお伺いいたします。「快適性」と言うと「省エネ性」にもつながると思うのですが、今回体育館の照明器具を交換したことにより、そこを使用する方々、学生の皆様や父兄の方々などの感想、反応などはいかがでしたでしょうか?

私は現場にいつもいるわけではないので、直接聞く機会はあまりないのですが、従来の明かりと比べかなり色味が、スッキリとしたのではないでしょうか。以前は赤みの強い、ちょっとうす暗い印象でしたから。ですが、交換する際には、もしかしたら現場から、明るすぎるのではないか、眩しいのではないかなど、目新しさからくるちょっとした違和感の意見が出るかな、という心配はありました。
しかし交換した結果、そうした違和感などの声は全く聞かれず安心いたしました。現場で実際つけて頂いた際の私の感想は、思ったより光が柔らかく、従来の雰囲気を損ねることはなくいいなと思いましたので、それは杞憂に終わったわけです(笑)
加えて調光機能も付いていますので、現場では目的に応じてその都度照度を調整して使っているようです。

どのように調光機能を活用しているのでしょうか?

天候の状況などで使い分けていると思います。天気の良い時などは、少し光を落とすなどしていると思います。また、バレーボールやバスケットボールなど天井を見上げる競技で、あまり明るいと目に入って眩しいときなどにも、光が調整できるので、いいですね。又、クラブ活動ではダンスも盛んで、照明をかなり落として使用するケースもあるようです。
結果として、様々な使い方ができる製品に交換できたので本当によかったと思っております。