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2017年度LED照明製品試買調査報告

1 はじめに

一般社団法人日本照明工業会は,半導体照明(SSL)の普及加速により「あかり文化の向上と地球環境への貢献」を目指すとして,2014年9月に「照明成長戦略2020(LIGHTING VISION 2020)」を公表した。その重点課題の1つに「公正で適切な競争のできる健全な市場の再構築」を掲げ,標準化推進,試験所の育成・整備及び市場監視体制の確立を主な施策として進めることにした。そして,市場監視体制確立の具体的な施策として,「LED照明製品の試買調査」を定期的に実施することを決め,2016年度から調査活動を開始した。

2017年度の対象品目は,工場,公共施設等で使用されるLED高天井器具とした。

2 サンプル評価項目及び評価結果

2.1 調査サンプルと評価項目

2017年6月現在市場に流通しているものであって,LED高天井器具の普及タイプ15社の製品を選定した。内訳は,会員企業製のものが14機種,非会員のものが1機種で,サンプル数は,各機種あたり2台とし,電材卸売店から購入した。共通する仕様は,全光束:20 000 lm程度,電源内蔵形である。
評価項目は,性能を中心として以下の項目を選定し,器具寸法・質量及び表示を除き,第三者試験機関に委託して試験を実施した。なお,光学特性の評価は,JNLA登録試験機関に委託した。

  • (1) 器具寸法・質量
  • (2) 電気特性及び光学特性(ちらつき含)
  • (3) EMC(高調波電流,雑音端子電圧)
  • (4) 絶縁抵抗,耐電圧及び接触電流
  • (5) 表示

2.2 評価結果の概要

電気・光学特性の面においては,1製品を除き,全光束・固有エネルギー消費効率のJISの基準を満たしていた。図2.1に全光束の公表値に対する比率,図2.2に固有エネルギー消費効率の公表値に対する比率を示す。EMCにおいては,1製品を除き電気用品安全法の雑音端子電圧許容値を満足していた。図2.3に雑音端子電圧の許容値に対するマージンを示す。
安全性の面においては,全製品が絶縁抵抗・耐電圧・接触電流ともに照明器具の安全JISの基準を満足しており問題はなかった。青色光による網膜傷害については,全製品がJISに規定する固定形の照明器具に対する基準を満足する結果が得られた(JIS C 8105-1:2017 4.24.2 a)参照)。
表示の面においては,電気用品に関する表示で問題のあるものが,次のとおり3製品にあった。

  • (1) PSEマークの表示なし。(H社)
  • (2) 電気用品事業者届出業者名なし。(I社)
  • (3) 表示が英語のみ,基本性能(消費電力,定格周波数)の表示なし。(K社)

図2.1 全光束の公表値に対する比率

図2.2 固有エネルギー消費効率の公表値に対する比率

図2.3 雑音端子電圧の許容値に対するマージン

2.3 主な問題点

今回判明した、主な問題点とサンプルの状況は次のとおりである。

  • (1) 全光束の公表値に対する実力値の乖離(公表値の90 %を下回る製品:1社)
  • (2) 雑音端子電圧の電気用品安全法への不適合(不適合の製品:1社)
  • (3) 電気用品安全法の要求の表示に関する不適合。(不適合の製品:3社)

表1 今回の調査で判明した主な問題点を有するサンプル(●印で示す)

  A社 B社 C社 D社 E社 F社 G社 H社 I社 J社 K社 L社 M社 N社 O社
問題点 (1)                            
(2)                            
(3)                        

3 まとめ

既に市場では放電灯高天井器具の代替えとしてLED高天井器具が主流になりつつあるが,今回の調査では,電気,光学性能においては殆どの製品がJISの基準を満たしていることが分かった。
また,電気用品安全法の雑音端子電圧,表示の不適合の製品が存在することが判明した。
今回,問題点があった会員企業に対しては問題点の情報提供と是正を依頼し,フォローアップした。
今後,これらのLED照明製品の公正で適切な競争ができる健全な市場を構築し,一層の普及促進を図るためには,業界として,今後とも市場監視を強化して,電安法への不適合等の問題製品の是正に努めることが肝要である。