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一般社団法人日本照明工業会は,半導体照明(SSL)の普及加速により「あかり文化の向上と地球環境への貢献」を目指すとして,2014年9月に「照明成長戦略2020(LightingVision2020)」を公表した。その重点課題の1つに「公正で適切な競争のできる健全な市場の再構築」を掲げ,標準化推進,試験所の育成・整備及び市場監視体制の確立を主な施策として進めることにした。そして,市場監視体制確立の具体的な施策として,「LED照明製品の試買調査」を定期的に実施することを決め,2016年度から調査活動を開始した。
2016年度の対象品目は,一般消費者が直接選択・購入する普及商品をターゲットに下記2品目とした。
2016年5月現在市場に流通しているものであって,ガラス球形状がPS35で40形の小形一般照明用電球代替を意図していると思われるE17口金付き電球形LEDランプについて14社の製品を選定した。内訳は 会員企業製のもの及び非会員のもの各7機種で,サンプル数は,光源色が電球色のものを各1個とし,市場から購入した。
評価項目は,性能を中心に以下の項目を選定し,ランプ寸法・質量及び表示以外は,第三者試験機関に委託して試験を実施した。なお,光学特性の評価は,JNLA登録試験機関に委託した。
今回の調査サンプルは,代替を意図していると思われるガラス球形状PS35の40形小形一般照明用電球に対し,平均的にはほぼ代替可能なレベルに達していた。ただ,図2.1(全光束),図2.2(平均演色評価数),図2.3(雑音端子電圧)及び図2.4(耐電圧)に示す通り,一部に,光学特性が公表値を大きく下回るものや,安全性も含め代替に値しないものがあることが判明した。
図2.1 全光束
図2.2 平均演色評価数(測定値)
図2.3 雑音端子電圧の許容値に対するマージン
図2.4 耐電圧限界値
今回判明した主な問題点と各サンプルの状況は,次の通りである。
A社 | B社 | C社 | D社 | E社 | F社 | G社 | H社 | I社 | J社 | K社 | L社 | M社 | N社 | ||
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問題点 | 1. | ● | ● | ● | ● | ||||||||||
2. | ● | ● | ● | ||||||||||||
3. | ● | ||||||||||||||
4. | ● | ● | ● | ● | ● |
表1に示す通り,問題を有する製品は,5社(J~N 社)のサンプルであり,その内,4社のサンプルは複数の問題を有していた。
2016年6月現在市場に流通しているものであって,住宅用LEDシーリングライト8畳用の普及タイプ14社の製品を選定した。内訳は,会員企業製のものが11機種,非会員のものが3機種で,サンプル数は,各機種あたり1台とし,市場から購入した。共通する仕様は,乳白カバー付きで,取付け方法が引掛けシーリングを使う方式,赤外線リモコン付き,調光機能を備えたものである。
評価項目は,性能を中心として以下の項目を選定し,ランプ同様,器具寸法・質量及び表示を除き,第三者試験機関に委託して試験を実施した。なお,光学特性の評価は,JNLA登録試験機関に委託した。
電気・光学特性の面においては,全製品が全光束・消費電力・エネルギー消費効率・平均演色評価数ともにJISの基準を満たしていた。図3.1に全光束,図3.2に固有エネルギー消費効率及び図3.3に雑音端子電圧の評価結果を示す。
EMCにおいては,高調波電流について1社の製品のみJISに不適合であったが,電気用品安全法の雑音端子電圧については,全製品が許容値を下回り充分なマージンを確保していた。
安全性の面においては,全製品が絶縁抵抗・耐電圧・接触電流ともにJISの基準を充分満たしており問題はなかった。
総合的には,今回の調査で全ての製品が全光束をはじめ各種性能において,公表値に対して充分な初期性能を有していることが分かった。
図3.1 全光束
図3.2 固有エネルギー消費効率
図3.3 雑音端子電圧の許容値に対するマージン
今回の試買調査で,E17口金付き電球形LEDランプの5社の製品に,全光束の公表値に対する実力値の乖離や,電気用品安全法の雑音端子電圧不適合などの問題が存在することが判明した。
今後,これらのLED照明製品の公正で適切な競争ができる健全な市場を構築し,一層の普及促進を図るためには,業界として今後とも,今回のような試買調査などによる市場監視の強化が肝要である。