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一般社団法人日本照明工業会 技術部
Japan Lighting Manufacturers Association
Technical-Relevant Division
2024年度のLED照明製品試買調査は、下記の2品目を対象に実施した。
1) LEDベースライト(連続調光形[調光範囲100 %~35 %以下])
2) AC直結G13口金直管LED光源
それぞれの調査概要について、下記の通り報告する。
試買調査は市場に流通する製品を入手し、公的規格などを基準として製品の性能及び安全性について確認し、公平で健全な照明市場を形成する目的で実施してきた。2024年度の試買調査対象は、LEDベースライト(連続調光範囲100 %~35 %以下)とした。
LIGHTING VISION 2030の目標では、消費電力量60 %削減(2013年基準)を掲げている。この実現のための施策の一つとして、照明制御設備の普及がある。今回、省エネに必要な調光制御機能を備えたLEDベースライト器具の調光による省エネ性の評価を主な目的とした。
2024年6月現在で市場に流通しているものであって、LEDベースライト[直付逆富士形(幅200 mm)屋内用、全光束6 900 lm程度、色温度5 000 K]を基準とした9社の製品を選定した。全て会員企業製で、会員以外の対象相当製品は見つからなかった。なお、サンプル数は各製品あたり1台である。
評価項目は、性能を中心に次の項目を選定した。また、電気特性及び光学特性は、第三者試験機関に委託して試験を実施した。
a) 器具寸法・質量
b) 電気特性及び光学特性(調光特性含む)
c) 表示
電気・光学特性では、平均演色評価数でJIS規定値の下限を割って初期特性を満足していないものが1社あった。固有エネルギー消費効率は9社全社がグリーン購入法に適合していた。図1.1に平均演色評価数の規定値(定格値から3を減じた値)と測定値の比較を示す。
図1.2に“消費電力比-照度比”の特性値をプロットしたものを示す。調光による消費電力は、照度比にほぼ比例して下がることが確認された。
表示については、電気用品安全法で必須となっている項目は9社全社が満足していた。
図1.1-平均演色評価数(規定値と測定値比較)
図1.2-消費電力比-照度比
今回、判明した主な問題点は次のとおりである。
・ 平均演色評価数Raにおける、JIS C 8105-3:2024の不適合(不適合製品:F社)
今回試買調査対象となった9社は、全て会員企業であり、非会員企業で調査対象となる製品を見つけることが出来なかった。
9社中7社が公共施設用照明器具として登録された製品と言うこともあり、概ね、適合となる箇所が多かった。また、9社全社がグリーン購入法に適合しており、半数以上が令和5年度補正予算省エネルギー投資促進支援事業費補助対象製品であった。(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ、令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業“(Ⅲ)設備単位型”補助対象設備一覧)
調光による消費電力は、照度比にほぼ比例して下がることが確認され、各社省エネ性に寄与した製品であることが伺える結果となった。
試買調査は市場に流通する製品を入手し、公的規格などを基準として製品の安全性について確認し、市場の安全を確保する目的で実施してきた。2024年度の対象品目は、AC直結G13直管LED光源とした。
G13直管LED光源については、これを評価する公的規格が存在しないが、市場に登場した頃には火災事故が多く発生したこと、自主統計で数量が増加してきていることから、当工業会としては最低限の安全を確保する目的で、AC直結G13直管LED光源のJLMA安全規格 JLMA 301を制定した。
JLMA 301は、電気用品安全法の対象製品であるエル・イー・ディー・電灯器具として守るべき安全基準を基礎とし、AC直結G13直管LED光源を器具用部品として安全に使用する場合に最低限守るべき安全基準を盛り込んでいる。本来であればエル・イー・ディー・電灯器具として評価すべきであるが、JLMA 301を基準とし、器具用部品としてG13直管LED光源を評価した。
当工業会では、G13直管LED光源を扱う会員企業(以下、会員企業という。)にJLMA 301の安全基準に適合した製品とすることをお願いしている。2022年度に会員企業へのアンケートにて、JLMA 301に適合させるという意思を確認し、実際に適合状況を調査したところ不適合箇所が散見された。このことから、会員企業が規格内容を十分に理解されていないことが推測され、要望によりJLMA 301の規格内容を理解するための説明会を行った。
今回、会員企業製品でJLMA 301への対応の確認が得られた製品の調査と昨年に引き続き市場に流通している非会員企業製品の安全レベルの確認を目的とした。また、結果を公表することで同製品について、より安全な対応をしていただくようにお願いするものである。
なお、JLMA 301は公的規格ではないが、広く一般にも活用いただくため当工業会HPで公開している。
調査概要について、以下に報告する。
電源供給方式が片側給電方式のG13直管LED光源として市場にて流通している14社の製品を調査対象とした。内訳は、会員企業製のものが9製品、会員以外が5製品である。会員企業製の9製品は、JLMA 301への対応の確認が得られた製品を購入し適合しているか検証した。
表2.1-調査サンプル
社名 | 形 | 全光束(lm) | 消費電力(W) | 定格入力電圧(V) | 会員/非会員 | JLMA 301公表 |
A社 | 40形 | 2 000 | 12.5 | 100-242 | 会員 | ○ |
B社 | 40形 | 2 000 | 12.0 | 100-240 | 会員 | ○ |
C社 | 40形 | 3 000 | 20.0 | 100-242 | 会員 | ○ |
D社 | 40形 | 2 080 | 13.0 | 100-240 | 会員 | ○ |
E社 | 40形 | 2 100 | 15.0 | 100-240 | 会員 | - |
F社 | 40形 | 2 100 | 13.0 | 100-240 | 会員 | - |
G社 | 40形 | 2 300 | 12.4 | 90-264 | 会員 | ○ |
H社 | 40形 | 2 000 | 12.5 | 100-242 | 会員 | ○ |
I社 | 40形 | 2 740 | 16.8 | 100-242 | 会員 | ○ |
J社 | 40形 | 3 420 | 18.0 | 100-242 | 非会員 | - |
K社 | 40形 | 2 000 | 11.0 | 100-240 | 非会員 | - |
L社 | 40形 | 2 000 | 15.0 | 100-120 | 非会員 | - |
M社 | 40形 | 2 100 | 17.5 | 100-242 | 非会員 | - |
N社 | 40形 | 2 400 | 18.0 | 85-265 | 非会員 | - |
表2.2-評価結果の概要
評価項目(略記) | A社 | B社 | C社 | D社 | E社 | F社 | G社 | H社 | I社 | J社 | K社 | L社 | M社 | N社 |
一般要求事項 (発煙・発火等の故障に配慮した設計など) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
互換性(内部結線の方式など) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
構造(緩みが生じてはいけない箇所でのベタはんだ禁止など) | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | ○ | × |
感電に対する保護(絶縁物の厚さなど) | ○ | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | × | × | ○ | × | × |
沿面距離・空間距離 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | × | × | × | ○ | × | × |
二重絶縁構造 | NA | NA | NA | × | NA | × | NA | NA | × | × | × | NA | × | × |
安全に関する項目判定 | ○ | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | × | × | ○ | × | × |
表示(誤使用を防ぐための表示など) | × | × | × | × | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × | × |
総合判定 | × | × | × | × | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × | × |
表中の記号:〇…適合、×…不適合、NA…非該当 |
今回の調査対象のうち、安全上重要と考えられる項目と表示の全て適合と判断されたのは、会員企業の1社の製品であった。安全上重要と考えられる項目のみ適合と判断されたのは、会員企業は9社中4社で、非会員企業は5社中1社であった。安全上の項目に適合する製品は増加しているが、表示を含めた規定内容の正確な理解が必要であるため、今後もJLMA 301の規定内容に対する正確な理解を求める普及活動と、規格適合による安全品質向上の推進を行い、特に会員企業には適合をお願いしていきたい。